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柳楽優弥と黒島結菜の演技力

『夏目アラタの結婚』
©乃木坂太郎/小学館 ©2024映画「夏目アラタの結婚」製作委員会

 こういった突飛な設定の作品をいまだに堤幸彦か三池崇史に任せざるを得ないという、日本映画のクリエイター問題が若干気にはなるが、本作の出来の良さを見てしまうと、やはり抜群の巧さを実感し、まだしばらくの間はこの堤幸彦という鬼才を頼りにしないといけないのだと思わされる。

 タイトルロールの夏目アラタを演じるのは柳楽優弥、そして謎多き死刑囚・品川真珠には黒島結菜がキャスティングされている。柳楽優弥と堤監督は『包帯クラブ』(2007)で、黒島結菜とは『十二人の死にたい子どもたち』で組んでいる。共演には中川大志、丸山礼、立川志らく、佐藤二朗、市村正親などが名前を連ねているが、やはり見どころは柳楽優弥と黒島結菜2人による演技合戦だ。

 映画の大半は拘置所の面会室という限定された空間での会話劇となるため、一歩間違えれば平坦で起伏にかけた映画になりかねないところを演技力に定評のある2人がぐいぐいと映画を牽引して飽きさせない作りになっている。もちろん、堤監督の演出が一役も二役も買っているのは言うまでもない。

『20世紀少年』3部作(2008~)や『劇場版SPEC』(2013)シリーズといった大作も手掛けているので忘れがちだが、堤監督のキャリアをよくよく思い出してみればクリエイターとして注目を浴びるようになったドラマの『金田一少年の事件簿』(1995)や『ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer』(1999)、そして映画『十二人の死にたい子供たち』に至るまで、限定された空間での会話劇が得意な人であった。

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