大人になるにつれ、忘れてしまう感情
前作に引き続き、今作でも「成長するとは、新しい自分に出会うこと」という根幹のテーマは変わらない。しかし、描く感情の幅はグッと広まっている。
これまでは、ヨロコビが中心となって統率していた司令部だが、今作では「ライリーが新しい環境に馴染んで、成長していくためには、あらゆる局面を予測して生きることが必要だ」と主張する新キャラ・シンパイによって統率される。
今までは、ただ、楽しいことを追求すれば良かったが、成長するにつれて感情はより複雑になっていく。
新しい感情たちによって、端っこに追いやられ、圧縮されていくヨロコビたちの姿を観ていると、大人になっていく過程で自己認識の解像度が高まっていく感覚を、ありありと思い出す。
人生の新しい局面に出会うたびに、これまでの自分では通用しない、変わらないといけないと痛感させられたことは、皆一度はあるだろう。ただ楽しいことだけを考えていては、生きていけない。人生の岐路で壁にぶち当たった時の感覚を、新規の感情たちが旧感情を一掃するシーンは見事に表現している。