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名優たちが織りなす「笑い」と名匠による巧みな「演出」にしびれる…。映画『お母さんが一緒』徹底考察&評価レビュー

text by 前田知礼

橋口亮輔監督による9年ぶりの新作映画『お母さんが一緒』が公開中だ。江口のりこ、内田慈、古川琴音が息の合わない三姉妹を演じる中、ネルソンズ・青山フォール勝ちが映画初出演で存在感を発揮。現役放送作家のライターが「笑い」に着目して、本作の魅力を解説する。(文・前田知礼)【あらすじ キャスト 考察 解説 評価レビュー】

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【著者プロフィール:前田知礼】

前田知礼(まえだとものり)。1998年広島県生まれ。2021年に日本大学芸術学部放送学科を卒業。制作会社での助監督を経て書いたnote「『古畑任三郎vs霜降り明星』の脚本を全部書く」がきっかけで放送作家に。現在はダウ90000、マリマリマリーの構成スタッフとして活動。ドラマ「僕たちの校内放送」(フジテレビ)、「スチブラハウス」、「シカク」(『新しい怖い』より)」(CS日テレ)の「本日も絶体絶命。」の脚本や、「推しといつまでも」(MBS)の構成を担当。趣味として、Instagramのストーリーズ機能で映画の感想をまとめている。

松竹印のオーソドックスなホームドラマ

『お母さんが一緒』
©2024松竹ブロードキャスティング

『お母さんが一緒』は、「CSホームドラマチャンネル開局25周年記念作品」として2024年の2月に放送されたドラマを再編集して構成した映画だ。

 映画『ハッシュ!』(2001)や『ぐるりのこと。』(2008)、『恋人たち』(2015)の橋口亮輔監督9年ぶりの新作ではあるが、内容としては松竹印のオーソドックスなホームドラマであり、老若男女誰でも気楽に観られる作品となっている。

『お母さんが一緒』という一見意味深に思えるタイトルも、「同じ母親から生まれた姉妹」を表現したもので、「(父親は違うけど)お母さんが一緒」などという入り組んだ背景があるわけではない。

 勉強熱心で働き者で真面目な長女・弥生(江口のりこ)と、容姿端麗だが仕事も恋人も長続きしない次女・愛美(内田慈)、地元で暮らし婚約者のいる三女・清美(古川琴音)からなる三姉妹による「ある一夜の姉妹喧嘩」であり「地獄の母親孝行家族旅行」が、この映画である。

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