入り組んだ2つの事業。政治家たちの裏側とはー。
さて、この後の展開を解説しよう。
誘拐犯から宇田清治郎に対し、身代金の要求ではなく、「お前の罪を自白しろ。自白しなければ孫を殺す。」とのメッセージがネット上より送られてくる。これまで宇田清治郎は、総理大臣界隈の、様々な闇の部分の掃除屋的な存在として関わってきた。
昨今では、ある市に建設される予定であった橋の工事について携わっていた。当初の建設場所を自身の政治力を使い、他の市に移動させ、移動先にある総理の知人の工事業者に落札させた疑惑が、かけられていた。
また、競艇場の場所を移転させ、業者から裏金を徴収するという行為も行っていた。全ては自身の利権と金のために。そんな最中、姪を愛する主人公・晄司は、誘拐事件の解決、父を自白させるために孤軍奮闘することとなる。
一方、宇田清治郎は政治家としての自身の保身に迷いつつも晄司に一喝され、自白により柚葉が救えるのならばと、総理を巻きこまないことを条件に官房長官へと「指揮権発動(自白しても罪に問われない特権)」を要望。
しかし、総理側は汚職を自白することに関して、当然、難色を示す。
…と、ここまで観て、「ふ~ん、政治家たちの裏側って、こういうものなのか」と、何となくの勉強にはなる。「指揮権発動」などという権利があることも、初めて知った次第だ。
しかし、「橋の工事」と「競艇場の移転」の話が交差していて、「どっちがどっちの話だっけ?」と、イマイチわかりづらいのだ。
犯人の目的は、この二つの事業のおかげで、何かしらの被害を受けた人間だというのは、一目瞭然だ。が、これらの「利権問題」の描写がしばらく続いていくので、「あれ? 誘拐の話、どこいったっけ?」と、さらにストーリーの焦点がボケてしまっていることは、否めないのである。