釈然としない犯人の動機とはー。
さて、ここからは、後半戦だ。一言で表わすなら、「晄司は、中途半端な名探偵」と化し、「誘拐犯探し編」に突入する。
晄司は宇田の裏情報をリークした、物語中盤までは、総理のライバルである木美塚幹事長が真犯人であると疑っていた。
しかし、競艇場の移転先近隣にある市の青少年研修センターの屋上からふと見下ろした時、犯人の思惑に気付く。犯人にとっては、移転先の競艇場の工事が取り止められると、何か困ることがあるのではないかと。
この辺りの展開も、「ちょっと無理くりじゃねえ?」感が否めない。
その後、晄司は警察と協力し、犯人を見つけるのだが、それは、麻由美の夫の事務所で働いていた寺中初美(尾野真千子)と彼女の弟であった。3年前、寺中の父は橋の建設場所で鉄工所を経営していた。橋の建設を知り、周辺の土地を買い漁ったが、宇田の政治力により建設場所が変わってしまい、借金だけが残ってしまう。
そして、精神錯乱状態に陥ってしまう寺中の父。そんな状態の中で、父と娘たちの間で言い争いになり、父は娘たちに殺されてしまう。初美たちは、父の死体を競艇場の移設先に埋めていた。なので、そこが工事の際に掘り起こされ、父の死体が見つかってしまうと、非常にマズいわけだ。
…と、このような顛末なのだが、どうにも釈然としない。まず、橋の建設場所で鉄工所を経営していた父の死体を埋めたのが、別件で宇田が関わっていた競艇場の移設先という偶然展開が、なかなかの強引っぷり。
(文・ZAKKY)
【作品情報】
タイトル:お前の罪を自白しろ
監督:水田伸生
原作:真保裕一
脚本:久松真一
製作:牟田口新一郎、市川南、中村浩子、小野田丈士、竹澤浩、弓矢政法、潮田一、小野剛、奥村景二、渡辺章仁、檜原麻希
出演:中島健人、堤真一、中島歩、山崎育三郎、浅利陽介、池田エライザ、尾野真千子、角野卓造、アキラ100%、美波、三浦誠己、矢柴俊博、柏原収史、中村歌昇(4代目)、佐藤恋和、山崎一、尾美としのり、橋本じゅん、池田成志、春海四方、菅原大吉、升毅、平泉成、金子伸夫