前作から格段にアップした品川ヒロシの演出力
今回ピックアップする映画『OUT』は、正統派ヤンキー映画の系譜に入るだろう。少年院から出所した主人公・井口達也(倉悠貴)は、焼肉屋で働きながら更生しようとするものの、暴走族の副総長・安倍要(水川恒司)に出会い、安倍が属する「斬人」の抗争に巻き込まれていく。
映画のストーリーはシンプルで、どの映画も敵対するグループとの頂上決戦がお約束。やられたらやり返すことの繰り返しだが、その合間に描かれる仲間、恋人、家族とのエピソードとキャラクターが重要だ。
『OUT』の世界観は品川監督の『ドロップ』と同じだ。続編とも言える作品だが『ドロップ』よりも物語に厚みがあり、品川監督の演出の腕は確実に上がっている。
『ドロップ』は主人公が不良に憧れ私立中学から公立中学に転校。そこで不良グループに入り、ケンカ上等な青春を送るストーリー。
敵対するグループとのケンカが繰り返され、ケンカするほどに仲間との絆が深まっていく物語は、主演の成宮寛貴、共演の水嶋ヒロ、波岡一喜などの熱演により、見応えのあるものになっている。
しかし、ストーリーに捻りがなくケンカばかりという印象が少なからずあった。