過去の”ヤンキーもの”と比較
『OUT』は、『ドロップ』と同じ世界観ながら、登場人物の個性がより際立つエピソードが用意されている。主人公の達也はおバカですぐカッとするけれど、素直なところもありクズではない。愛嬌のあるキャラクターだ。
ただ不思議なのは『ドロップ』で水嶋ヒロが演じた達也と同一人物とは思えないキャラクターで、前作の数年後の話なのに、どこか若返っているのが謎である。
しかし、助演の俳優たちは『ドロップ』よりも魅力的だ。
特に「斬人」の副総長・要。達也とはケンカから始まる関係だが、やがてバディのようになっていく。要は人懐っこく仲間を大切にする温かみのある男だ。『ドロップ』での成宮寛貴と水嶋ヒロと同じ関係だが、前作では二人とも血の気が多く線の細いイケメンというキャラだったため、少々変化に乏しかった。
しかし本作では、バディ二人のキャラをくっきり分けることで面白さが倍増したと感じる。ヤンチャな達也とアニキ的な要の関係がどう変化していくのか追いかけたくなるからだ。
特に、驚いたのは「斬人」の総長・丹沢敦司(醍醐琥太郎)。小柄で女の子のように可愛らしい容姿だが、誰よりもケンカが強く、ひとりで大勢を一気に倒す破壊力を持つ。しかし「斬人」のボスとして彼が登場したときに『東京リベンジャーズ』のマイキーにそっくり過ぎて驚いた。
原作のままかもしれないが、これではマイキーと比べてしまう……と思ったが、その他の個性的なヤンキーたちとヴィジュアル面での相性が良く、次第にすんなり溶け込んでいった。
醍醐琥太郎の芝居も最後までブレず、可愛らしくチャーミングに演じ切ったのも印象深く感じた。