品川ヒロシだからこそできた展開
人間は一人ひとり肩書きでは見抜けないさまざまな側面を持っている。品川監督はそこをよく理解しているからこそ、主人公を取り巻く人物たちのエピソードを丁寧に描いている。『OUT』はケンカ上等の不良たちが大暴れするだけの映画ではないのだ。
ちなみにケンカのシーンはお洒落ヤンキーたちもオラオラ感丸出しで殴り合い、血まみれのバトルを展開する。観ているこちらは「死んでしまうのではないか」とハラハラしながら観ることになるのだが、それが正解なのだ。
暴力シーンにかっこよさは必要ないし、痛みを伴わないと意味がない。観る者に痛みを感じさせないと暴力の恐ろしさが伝わらないからだ。そういう意味でも『OUT』のケンカシーンは暴力の残酷さをしっかり描いていていい。
個人的には品川ヒロシ監督はこれからもヤンキー映画撮り続けて欲しい。できれば『OUT』の続編を希望する。今作を見た人たちも、達也や要、「斬人」のメンバーのその後を観てみたいのではないだろうか。
(文・斎藤 香)
【作品情報】
タイトル:OUT
監督・脚本:品川ヒロシ
原作:井口達也、みずたまこと
キャスト:倉悠貴、水上恒司、醍醐虎汰朗、与田祐希、與那城奨、大平祥生、金城碧海、小柳心、久遠親、山崎竜太郎、宮澤佑、長田拓郎、仲野温、シソンヌ・じろう、千鳥・大吾、品川庄司・庄司智春、渡辺満里奈、杉本哲太
制作:藤原寛、遠藤徹哉、小西啓介、野村明男、竹澤浩、沢考史、宮内和彦
プロデュース:片岡秀介
プロデューサー:二宮直彦、中村直史、古賀俊輔
音楽:武史
撮影:Yohei Tateishi
主題歌:JO1 「HIDEOUT」
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