今、『PLUTO』を見る意義
こうした視点に立って『PLUTO』を観ていくと、本作では当然のように人間と同じく死と喪失といった「苦痛」を持つロボットが存在するこの世界は、今の時代に描くにはもっと複雑な問題と視点をもつべきではないかという考えが浮かんでくる。
ロボット(人工知能)と人間という哲学的なテーマには現代の作品としてはいささか物足りなさを感じるものの、「憎悪の連鎖」というテーマは、不幸にもパレスチナのイスラム組織・ハマスとイスラエルの戦闘が続いている現実に真っすぐ通じる。
「憎悪の連鎖」が現在進行形で悲劇を生み出し続けている今、アニメーションとして生まれ変わった『PLUTO』を見ることで学べることは少なくないはずだ。
(文・すずきたけし)
【作品概要】
監督:河口俊夫
原作:『プルートゥ』(小学館ビックコミックス刊)浦沢直樹、手塚治虫
制作:長崎尚志
キャスト:藤真秀、日笠陽子、鈴木みのり、安元洋貴、山寺宏一、木内秀信、小山力也、宮野真守、関俊彦、古川登志夫、津田英三、朴璐美(朴ロ美/朴路美)、羽佐間道夫、山路和弘、田中秀幸、堀内賢雄
キャラクターデザイン:藤田しげる
クリエイティブアドバイザー:浦沢直樹
エグゼクティブプロデューサー:丸山正雄、真木太郎、山野浩史
音楽:菅野祐悟
協力:手塚プロダクション
アニメーション制作:スタジオM2
制作プロデュース:ジェンコ
公式サイト