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低予算なのに大ヒット…映画『侍タイムスリッパー』はなぜ成功を収めたのか? 時代劇に精通するライターが魅力を考察レビュー

text by Nui

自主制作ながらSNSを中心に人気を集め、全国150館以上での上映が決定した映画『侍タイムスリッパー』。本作は、ハリウッドの『SHOGUN 将軍』とともに、斜陽だった時代劇の復権として注目を集めている。そこで今回は、時代劇リサーチャーのNui氏に時代劇俳優の魅力や先達へのリスペクトについて論じてもらった。(文・Nui)

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【著者プロフィール:Nui】

絵描き・文筆家・時代劇リサーチャー。2021年より主に時代劇の美男子を描く作家として活動開始。現在、様々な俳優の取材を通して勉強中。主な仕事に『FINAL FANTASY XVI』広告絵画参加、FM ラジオ&Podcast「時代劇が好きなのだ!」パーソナリティ、月刊『コミック乱』イラストコラム連載など。

『侍タイムスリッパー』で再燃した時代劇熱

侍タイムスリッパー

©2024 未来映画社

 SNSを中心に爆発的な人気を見せている映画『侍タイムスリッパー』は、インディーズ発、低予算、しかし登場する俳優は一流、そして幕末の武士が現代にタイムスリップするというストーリーで、時代劇に馴染みのない人にもキャッチーに刺さっている。

 この盛り上がりは約1年間、時代劇をテーマにラジオを制作している筆者にとっても若干怯むほどで、ついぞ感じたことのない熱気である。

 物語は、山口馬木也演じる会津藩士・高坂新左衛門が密命のターゲットである長州藩士と刃を交えたとき、落雷で気を失い、現代の京都・太秦にある東映京都撮影所にタイムスリップするというもの。

 そして高坂は、ヒロインの沙倉ゆうの演じる山本優子たちに助けられながら、時代劇の撮影現場で働くことを決意し、“斬られ役”になる。ここから高坂は本物の侍である自分と、虚構の侍である自分とを行き来しながら生きてゆく。

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