ダルビッシュ有との目には見えない“師弟関係”
大谷とダルビッシュは、同じ日本ハムからメジャーへ羽ばたいたが、一緒にプレーしたことはなく、対戦経験もない。
そして、ダルビッシュと入れ替わるように日本ハム入りした大谷はダルビッシュの背番号「11」を引き継ぐことになる。球団にとってエースナンバーといえる番号を新人に託したことは、彼に対する期待の表れでもあった。
そしてついに、この2人が同じユニフォームに袖を通す日がやってくる。記憶に新しい第5回WBCだ。
ダルビッシュは大谷から熱烈なオファーを受けたことを明かし、「ダルさんがいなければ優勝できません」とまで言われ、侍ジャパン入りを決意する。目には見えない“師弟関係”が、そこには存在していたといえる。
大谷が語った通り、ダルビッシュ参戦によって、栗山監督も全幅の信頼を置くほどのチームの軸ができ、劇的な展開で優勝を飾った侍ジャパン。胴上げ投手は、米国の最後のバッター、エンゼルスの同僚であるトラウトを三振に斬って取った大谷だった。
大谷が、かつて自ら作成した目標達成シートを裏返し、毛筆で大きく「世界一」と書く。大谷の目標はいつしか、高校時代に記した、そのシートの内容をも超えていたのだ。