『SPY×FAMILY』が示す理想の家族像
このように、フォージャー家は絶妙なバランスで成り立っている。だから外部からのちょっとした風で吹き飛びかねないし、現に今作の映画でも「オペレーション〈梟〉」を他者に依頼するという外的要因で揺らいだのが事の発端だ。
しかし、フォージャー家は内的要因で崩れることはないのだ。たまにヨルが誤解して天然な暴走を繰り広げることはあるし、今作でもそうだが、聡明なロイドや、人の心が読めるアーニャが上手く立ち回って問題に解決に励む。
逆も然りで、ロイドが追い詰められている時はアーニャとヨルが助け、アーニャが落ち込んでいる時はロイドとヨルが慰める。
お互いが迷惑をかけ合い、助け合っている姿は家族そのものなのだ。むしろ偽装家族ゆえに、より繊細な気遣いが行き渡っているからなのか、いわゆる血縁関係の本当の家族よりも、理想の家族像を体現している。
そんなフォージャー家だからこそ無敵なのであり、彼らを応援したくなるのだ。