裏切りと愛情が交差する、役への解釈
―――撮影中、ブランクを感じることはありましたか?
「ピアノの仕事が結構あったので、ブランクはそこまで感じませんでした。前にやっていた映像作品もピアニストの役で、ピアノを練習する期間もありましたから。でも今回は、音大生という設定で、ピアノを日常的に触っていて、さらにホテルのバーで演奏するシーンがあり、余裕のある雰囲気で弾かなければならなかったので、より技術を求められた気がします」
―――演奏しながら演技をするのはどんなにピアノに慣れていても難しそうですね。他のシーンに比べて、お芝居に苦労されたのではないでしょうか?
「それが逆にやりやすかったんです! 自分でBGMを付けてる感覚といいますか、感情を音で表現するのは得意なタイプだったので、自分の演奏する音で感情を表しながらお芝居をするという作業はスムーズにできました」
―――今回、金子ノブアキさん演じる修とは不倫関係ということもあり、恋心や嫉妬など、複雑な心情の演じ分けが必要だったと思います。玉木まりもという役をどのように解釈しましたか?
「まりもは、本当は好きになりたくないし、認めたくないのに、気づけば修に惹かれてしまうという葛藤があります。ストーリーが進むにつれて、修のことを少しずつ本気で好きになってしまうんです。修に裏切られたり、すっぽかされたりするたびに、『ダッサ、私』と自分を振り返る描写が多かったので、シーンを重ねるごとに、修への気持ちがちょっとづつ露わになっていく…ということを意識して演じました」