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【推しの子】実写化が成功した理由

【推しの子】 The Final Act
©赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・東映_©赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・2024 映画【推しの子】製作委員会

 とくに、『【推しの子】』の場合は、サスペンス要素が強いが、転生ものでもあるため、“実写化不可能”と言われるシーンがあまりにも多すぎた。たとえば、赤ちゃん時代のアクアとルビー(齊藤なぎさ)が、まるで大人のようにしゃべったり、スマホをいじったり、しまいにはアイ(齋藤飛鳥)のコンサートで、全力でサイリウムを振ったり…。

 そのため、ドラマ版『【推しの子】』は、赤ちゃん時代のシーンをなるべくカットすることで、違和感をなくしていた。個人的には、『【推しの子】』のなかでも名シーンと言われているサイリウムを振るシーンが実写化でどうなるのか見てみたかった…という気もあるが、ドラマ版『【推しの子】』を通して、作り手側の苦悩がひしひしと伝わってきたため、そうわがままを言うこともできない。

 また、原作ファンから必ずツッコまれるであろうポイントを、逆張りで台詞に入れていたのも、ドラマ版『【推しの子】』が成功した所以と言えるだろう。たとえば、原作者と脚本家の対立が描かれた第5話では、“漫画を実写化することのむずかしさ”をさりげなく伝えながら、アクアとあかね(茅島みずき)に、「子ども時代の話は、ほとんどカットされてるもんね」「ハイテンポな掛け合いができる子役なんて、まずいないからな。乳児が踊り出すなんて、もってのほかだ」「CG使ってもむずかしそう」と語らせる。

 実写化に対して、どうしても嫌悪感を抱いてしまう人は、ぜひドラマ版『【推しの子】』を見てみてほしい。

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