四姉妹物語の楽しさ
四姉妹物語というのは楽しい。令和ではなかなかリアルにお目にかかることのできなくなった、きょうだいの形態。昨年末にも『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私』(日本テレビ系)が放送されているが、同じ血の通う女性が集まるのに皆、個性が際立っているのがいい。
まとまらない発言をしあって、本気で喧嘩もするけれど、最後は助け合っている。『阿修羅のごとく』には四姉妹による、さまざまな情が詰まっているのだ。
ドラマの時代背景は男尊女卑も甚しい昭和54年。
「真面目に働いて、家を建てて、四人の子どもを成長させて。その後、誰にも迷惑をかけずに人生の贅沢を楽しんでいるのがそんなにいけないのか」
巻子の夫・鷹男が竹沢家の父・恒太郎(國村隼)の浮気を贅沢だと肯定していた。男の甲斐性とやらが数十年後には仕事のキャンセルカルチャーを起こす火種になると、当時は想像もしていなかっただろう。そんな時代に四姉妹は男に振り回し、振り回される。彼女たちがどんな結末を迎えるのか、四姉妹の熱量と肝の強さを作品で感じ取って欲しい。
(文・小林久乃)
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