「観る人を引き込むための“見せ方”が大切」
視聴環境に合わせた演出

城定秀夫監督 写真:武馬怜子
城定秀夫監督 写真:武馬怜子

―――城定監督はこれまでに、多くの漫画原作をおやりになられていますが、映画とドラマにおいて、違いはあるのでしょうか?

「そうですね。『誰が、どこで観るか』という点は意識しています。たとえば今回のABEMAさんのように、スマホをはじめさまざまなデバイスで視聴する方が多いプラットフォームであれば、映画館で集中して観る作品とは求められるものに違いがあります。

そういった環境に合わせて『見やすさ』を意識しています。ただし、演出や役者の芝居の質については、映画であろうと配信ドラマであろうと大きく変えることはありません。あくまで変えるのは、“どう見せていくか”、“どう届けるか”という部分です」

―――視聴環境やプラットフォームによって調節しながら、ご自身のスタイルと合わせていかれるんですね。城定監督の作品は、長回しのカットがとても印象的ですが、本作でも取り入れられたのでしょうか?

「スタイルとしては、芝居や伝えたいことを、なるべくシンプルな形で捉えるようにしています。カットを細かく切り替えてテンポよく見せる場合もありますが、その必要を感じない場面では、芝居の呼吸を邪魔しないよう、ひとつの流れで撮って“見やすい映像”を目指しています。

本作は一般的なドラマに比べると、1カットあたりの尺は長めだと思います。でもそれが、『退屈だ』と感じられないよう、工夫もしています。カメラの動かし方やアングルの選び方、時にはハッとするような角度から撮るなど、視覚的な刺激を意識して演出しています。テンポがいい=カットを多く刻む、というわけではなく、観る人を引き込むための“見せ方”と“リズム”が大切だと考えています」

―――今の話をお聞きして、城定監督が過去に手がけられた映画『愛なのに』(2022)の冒頭シーンを思い出しました。本棚の隙間から人物を撮られていましたね。

「その場面でもそうですが、“画の強度を高める“という意識を常に持っています。あちこちから撮って、編集で仕上げるやり方だと、ひとつひとつのカットに対する意識や集中がどうしても弱くなってしまう。だからこそ、自分の中で『このカットでいく』と決めたら、そこにしっかり狙いを定めて撮る。それが、自分のスタイルでもあり、強度を保つための1つの方法なんです」

(取材・文:タナカシカ)

【作品概要】

2025年3月27日(木)夜11時より無料放送(全8話)
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■キャスト
成宮寛貴、瀧本美織、細田善彦、久間田琳加、片桐仁、松井玲奈、田中美久、しゅはまはるみ、粟大和、袴田吉彦・山口馬木也、筒井真理子 他
■スタッフ
製作:藤田晋
原作:天樹征丸/漫画:草壁エリザ/「死ぬほど愛して」(光文社 刊)
企画・監修:樹林伸/樹林ゆう子
プロデューサー:小林宙/金山宇宙/柴原祐ー
脚本:ねじめ彩木/髙橋幹子/吉﨑崇二
音楽:海田庄吾
主題歌:.ENDRECHERI./堂本剛「super special love」Sony Music Labels Inc.
監督・脚本:城定秀夫
制作プロダクション:ダブ
製作著作:ABEMA

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【了】

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