すっきりとも違う、奇妙な満足感
過去編が終わりを迎え、抱いた感情は納得感だ。シーズン1からこれまでただただ謎が多く、それも視聴者にとっては恐怖の一因となっていたが、ひとつひとつを丁寧に回収していくような過去編は見応え十分だった。
後藤家の異常な結びつきの強さや血の気の多さは、カシハベ一族の子孫であることが起因していたと合点するし、“あの人”=白銀であるということもわかった。
すっきりとも違う、奇妙な満足感は『スター・ウォーズ』シリーズと一瞬重なるようだ。ストーリーやスケールは異なるものの、過去編と現代編の点と点が線になったとき、エピソード3とエピソード4がきれいにつながったときの感動に近い気持ちが思い起こされた。アナキン・スカイウォーカーがいかにしてダース・ベイダーとなったのかという真実同様、“あの人”の始まりは避けられなかったのかと苦悩してしまう。
あの人である白銀は物心がついたときから人を食べ物として見ていた。彼自身に罪はなく、銀など周囲の人間によって形成された概念だ。食人によって強大な体躯と力を手にし、「現人神(あらひと)」として畏敬の念を抱かれるようになってしまった彼もまた銀によって生み出された狂気の被害者と言えるのだろう。
物語はいよいよクライマックスに迫り、大悟(柳楽優弥)と恵介(笠松将)が決して盤石とは言えない共同戦線を張る。もちろん、最後の敵は白銀だ。後藤家のしがらみと恐ろしくも悲しき怪物と決着をつけるため、2人は歩を進めていく。
(文・まっつ)
【作品概要】
原作:『ガンニバル』二宮正明(日本文芸社刊)
配信:ディズニープラス スターで独占配信中
監督:片山慎三、佐野隆英、大庭功睦 ■脚本:大江崇允、廣原暁 ■プロデューサー:山本晃久、半田健
出演:柳楽優弥
笠松 将、吉岡里帆、高杉真宙、北 香那、杉田雷麟、山下リオ、田中俊介、志水心音、
吉原光夫 / 中島 歩、岩瀬 亮、松浦祐也、永田崇人 ジン・デヨン / 六角精児
恒松祐里、倉 悠貴、福島リラ、谷中 敦、テイ龍進 / 豊原功補
矢柴俊博、河井⻘葉、赤堀雅秋、二階堂智、大鷹明良、利重 剛 / 中村梅雀
橋爪 功 倍賞美津子
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