後藤家の人間が恵介（笠松将）に銃口を向ける…。

　娘を守るため迷わず大悟が弾丸を放つ中、恵介に見えたのは死んだはずの後藤銀の幻影。

　銀は恵介に「人を喰ってなにが悪い。神は目の前にいる」と言葉をかける。しかし、恵介は多くの人間が命を落としてきた悪夢のような現実を振り切るように引き金を引き、白銀の脳天を撃ち抜くのだった。

　ついにやった、いややってしまったなのか。恵介の胸中は表情から推し量ることはできない。さらに、岩男（吉原光夫）ら後藤家の人間が現当主による裏切りの瞬間を目撃し、ついに恵介に銃を突きつける。

　もはや恵介にはできる言い訳も抵抗する力もない。彼から始まったシーズン2の恵介の物語はこんな形で幕を閉じるのかと思った刹那、あの人の咆哮がこだまする。ゆっくりと近づいてくると、守るように恵介の前に立ち、頭をなでるのだった。

　思えば、あの人の側の物語など考えたこともなかった。見た目からして怪物であるのは明らかで、言葉が通じる相手とも思えない。ただ人間を喰ってきた化物という認識がシーズン1と2でしっかりとできてしまっていた。

　だが、これまでの2話でわかった通り、あの人は白銀という人間だった。それも供花村の激動の歴史に巻き込まれた1人の子供だった。村の象徴で、恐怖でもある人喰いは、後藤銀が「お前が生きていける世界をわしが作っていく」と決めたことに由来するもの。

　銀を責めることはできても、白銀は母の歪んだ愛情に従った単なる被害者に過ぎなかったのではないか。白銀と恵介のシーンで、一気にそんな思いが去来する。