全ては「終わらせる」ために
後藤家の“兵隊”として、恵介(笠松将)を敬愛していた岩男(吉原光夫)だが、目の前で裏切りを目撃したことでついに覚醒。まるで「あの人」のような見てくれとなった彼は恵介ら後藤家の人間に反旗を翻し、混乱の渦を巻き起こす。
一方で、ようやくましろ(志水心音)を救い出した大悟は重傷を負った有希(吉岡里帆)のもとへと急ぐが、供花村では村人たちが後藤家を襲撃。女子供までもが犠牲となる暴走が始まり、多くの血が流れることとなっていく。
これまでときに対立し、共闘してきた大悟と恵介。2人の奥底にある感情は全く一緒とは言い切れないが、本質的にすべてを「終わらせること」を望んでいたのではないか。
それはほかでもない彼らが始めてしまったことを自覚しているから。供花村に駐在としてやってきた大悟が村の謎へと突き進み、恵介は後藤家の過ちを知りながらそれを黙認していた。
ともに責任を感じていたことは明らかで、家族のためには鬼にもなる大悟でさえ、村人の声を聞き、家族の元ではなく火が放たれた村へと駆けつけるのだ。「全部終わらせてくる」ために。
大悟はすんでのところで暴走する村人から子供を救うことに成功する。ただ、復讐による復讐によって、血塗られた歴史を持つのが供花村であり、人類そのものだ。村人が一揆を成し遂げて後藤家を滅ぼしたとしても、後藤家が返り討ちにしていたとしても、先の未来は明るくなるかはわからない。
そんな中、大悟は「どうして次の世代を信じてやることができなかった。これ以上新しい憎しみで縛るんじゃねえよ」と言い放つ。それは、すべての悲しき歴史にピリオドをうち、決別することを意味する。
あくまで外野からの意見だが、その大悟の思念は恵介にも通じていたようだ。岩男の暴走を止め、駆けつけた警察に大人しく拘束されて「これでええんじゃ」と漏らす。罪を背負ってでも生き続ける姿を次の世代である子供たちに見せるためだ。