「笑顔は家に置いてきました」ドラマ『極道上司に愛されたら』主演・戸塚祥太が語る”動かない演技”への挑戦。単独インタビュー

text by ZAKKY

大人気マンガを原作としたドラマ『極道上司に愛されたら~冷徹カレとの甘すぎる同居~』が、MBS/TBSドラマイズム枠で放送中だ。今回は、本作で主演を務める戸塚祥太さんにインタビューを敢行。作品への思いから役作りの裏側、共演者とのエピソードまで、たっぷりとお聞きした。(取材・文:ZAKKY)

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原作と脚本への揺るぎない信頼が原動力に

『極道上司に愛されたら』第1話©MBS
©「極道上司に愛されたら」製作委員会・MBS

―――本作は、戸塚さんにとって約4年ぶりの連ドラ出演となりますね。

「世間の皆様が、“戸塚・イズ・バック”って言ってくれることを願っています(笑)。4年前に出演した作品も漫画が原作だったのですが、そのパターンを1回経験したということは、大きいと思います。原作が漫画ならではの大変さはありますが、頑張ろうと思っています」

―――今回、戸塚さんが演じた小田切蓮というキャラクターは、表向きは企業のやり手の部長、裏では極道の顔があるという二面性のある役どころです。お芝居で意識した部分を教えてください。


「秘密を抱えている人間なので、キリッとした気持ちと表情が緩まないようにということを意識しました」

―――演じる上でのプレッシャーもあるかと思います。男から見てもカッコいい男性ですよね。

「そういったプレッシャーは、あまり感じないんです。というのも、台本や原作に書いてあることをその通りに演じれば、絶対大丈夫だという信頼があるので。
僕の意思で何かを引っ張っていくというより、みなさんと一緒に作品を形にしていく感覚が強いです。あえて言うなら、“着せ替え人形”みたいに(笑)。作者の方が生み出した世界観に身を委ねて、演じさせていただいているんです」

動かない演技で表現する“内なる動揺”

『極道上司に愛されたら』第1話©MBS
©「極道上司に愛されたら」製作委員会・MBS

―――小田切蓮というキャラクターについて、どのような人物だと捉えましたか?

「子どもの頃からお世話になっているオジキに対して筋を通そうとする姿や、一緒に育った幼馴染の木場春華(柾木玲弥)との関係を大切にしているところなど、義理を通すことを大切にしている人物なんです。そんな彼が、菅原真琴(紺野彩夏)と出会い、価値観の異なる人間関係の中で葛藤する心情は、ちょっとドキドキしますね」

―――その動揺をあまり表に出せない部分もあるわけですね。

「そうですね。なので動揺しているシーンでは、息を止めて演じました(笑)。なるべく動かない方がいいかなと。少しの所作に意味を持ってしまうので、動かないで表現することを意識しました。ただ、その動かない演技って、意外と筋肉を使うんですよ。初日の撮影の帰りに、体の疲れを感じました」

―――戸塚さんはどの役でも“肉体を使う”ということを大事にされている印象があります。


「今回も、その辺は意識は大きかったですね。ウェイトトレーニングは1年以上やっていなかったので、まずは軽めに再開して体を整えていきました。自分の中では、ビジュアル的な“芸術点”を意識して演じているところがあります。常に“美しくなければいけない”という気負いというか、こだわりがあるんです。視聴者の方が最初に目にするは“画”だと思うので、“画になっているか“という意識は持つようにしています」

―――小田切蓮と自身との共通点や共感できる部分はありますか?

「『義理や筋を通す』ということを大事にしていきたいと思っているところです。家族やメンバー、友達、お世話になっている方々など、自分に関わってくれている人たちとの繋がりには、ちゃんと誠実でいたいんです。もちろん、相手にとって重荷にならない程度に、ですけど。そういう義理みたいなのは、自分の中に持っていたいなと思っています」

「『ドライヴ』のライアン・ゴズリングになりきりました」
撮影中のユニークな工夫

『極道上司に愛されたら』第1話©MBS
©「極道上司に愛されたら」製作委員会・MBS

―――W主演である紺野彩夏さんの印象はいかがでしたか?

「クールなイメージがありつつ、笑顔がすごく素敵な方だなということをずっと思っています。あと、初対面であまりコミュニケーションが取れていない中でも、プロフェッショナルな演技ができる方で、ただただ、尊敬しています」

―――紺野さん演じる菅原真琴というキャラクターの魅力については、いかがでしょうか?


「真琴さんは人のために動く人物なので、素敵なキャラクターだなと思います。あと、生い立ちが複雑なので、そういった意味でも幸せになってほしいです」

―――小田切蓮を演じている時も、そのようなお気持ちだったのでしょうか?

「演じているときは、真琴を好きだという小田切の主観が入っていたかもしれないですね。単純に守りたいとか、真琴を悲しませる奴、全員駆逐してやろうかなと、そういうモードにもスイッチを入れているんです(笑)」

―――まだ撮影中とのことですが、難しいシーンはありましたか?

「真琴に朝食を作ってもらい、一緒に食べるシーンをこれから撮影するのですが、きっと難しいのだろうなと思っています。極道として凄んでいるところは、ある意味、“演じている”と割り切れる部分があるんですが、日常の素が見える瞬間は、逆に演技との境界が曖昧になるので、どこまで素の自分を滲ませるのか、1番難しいところかもしれません」

―――中村嶺亜(KEY TO LIT)さんとの共演はいかがですか?

「同じシーンがまだそこまでないのですが、いい意味で気を遣わせてしまうと思うので、そんな彼にしっかり向き合えたらなと思います」

―――柴田啓佑監督からの演出や、現場で言われた印象的なことはありますか?

「僕、撮影の合間に笑ってしまったり、鼻歌歌ったりし、すぐふざけてしまうんです。でも今回は、役が役だけに、監督からは『笑顔は家に置いてきてください』と、言われました(笑)。だから、カメラが回っているときは、自分をアル・パチーノやライアン・ゴズリングだと自己暗示をかけています(笑)。台本にも『ここはライアン・ゴズリング』と書いたりして、『ドライヴ』(2011)の頃のライアン・ゴズリングになったつもりで演じています(笑)。でも、僕の自己暗示以上に、照明さんや衣装さん、カメラアングルなど、スタッフの皆さんのおかげで、“シブい雰囲気”を作っていただけている…本当に色んな方々に支えてもらっています」

―――最後に、この物語の魅力を改めてお願いします!

「真琴がピンチのときに小田切が颯爽と現れる展開が、回を重ねるごとにクセになってくると思います。女性が憧れるようなファンタジー的な要素もありますし、男性が見てもきっと惹き込まれるはずです。あと、僕自身、原作や脚本を読んでいて、とにかく“次が気になる”作品でした。シーンの展開がテンポよく進んでいくので、最近は倍速で映像作品を観る方も多いと聞きますが、この作品は“倍速なし”でもストレスなく楽しんでいただけると思います!」

(文・ZAKKY)

【ストーリー】
 幸せな家庭に憧れを持つ真琴(紺野彩夏)は、広告代理店アドライザの営業事務として働く29歳。私生活では自分勝手な恋人・勇人(赤澤遼太郎)に振り回されながらも、同棲生活3年目を迎えていた。しかしある日、勇人と後輩の愛菜(星乃夢奈)の浮気現場を目撃してしまう。

 真琴は家を同棲を止め、帰る場所がなくなった状況に途方に暮れていた矢先、手を差し伸べてくれたのは、社内で極道上司と呼ばれ恐れられていた小田切部長(戸塚祥太)だった。上司とのキケンな同居生活が始まることに。

『作品概要』
MBSドラマイズム枠にて、2025年7月23日~放送中。
CAST:戸塚祥太(A.B.C-Z)紺野彩夏
中村嶺亜(KEY TO LIT)星乃夢奈 赤澤遼太郎 朝日ななみ 堀家一希 山﨑光 柾木玲弥 山田キヌヲ
原作:『 極道上司に愛されたら〜冷徹カレとの甘すぎる同居〜』
(原作:真霜ナオ、作画:@R)
監督:柴田啓佑と酒見アキモリ
脚本:松下沙彩、富安美尋

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【了】

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