Netflixという名の“聖域”
―――大根監督は、これまで数々の映画やドラマを手掛けられてきましたが、Netflixならではの良さがあれば教えてください。
「表現の自由度がとても高いということ、これが一番大きいですね。『全裸監督』(2019)も『サンクチュアリ-聖域-』(2023)もそうですが、先発メディアである映画やテレビではできない表現、やっていない表現を追求しようという意識が明確にあります。
あとは、他メディアよりも、作品や内容に適した予算が出るという点や、撮影スケジュールを含めた現場スタッフへのケアが手厚い点も大きな特徴ですね」
―――ちなみに、一番コストがかかったのは、どういった場面でしょうか。
「VFXですね。作中では、地面師集団が、廃ビルからターゲットの光庵寺を見下ろすシーンがありますが、実際にはそういった寺はなくて、VFXで合成しました。
あとは、光庵寺住職の川井菜摘(松岡依都美)と手配師の稲葉麗子(小池栄子)の剃髪メイク。これも、カットごとにVFXで違和感ないように調整していて、地味に大変なんですよ。
それから、冒頭の熊狩りのシーンですね。このシーンも設定は国外なんですが、実は国内で撮影していて、地面からまるごとVFXで書き換えています。他にも一見気づかないような細かいシーンやカットでVFXを多用しています」
―――ロケ地もかなりリッチなイメージがありましたが、一番お金がかかっているのはどのロケ地でしょうか。
「2話で登場したラグジュアリーホテルですね。ホテルって、基本的に24時間お客さんが出入りしているので、そもそも撮影許可の取得が難しいんですよ。このシーンでは、ワンフロア貸し切りで撮影をしました。
あとは、ハリソンたち地面師集団が集結する部屋のセット。実際の地面師集団って、逮捕された時にシラを切れるように、一カ所に集まったりしないんですが、映像上は地面師たちが集まる場所があった方がいいということで、思い切って脚色して、ゴージャスなセットを作りました」