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飛影の描き方にみる実写版の美点

飛影(本郷奏多)
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続いて第3話だが、目玉は幽助VS飛影の対決である。ここで強調したいのは、飛影の設定がきわめて独創的かつ効果的にアレンジされていることだ。

原作では、飛影が幽助の小笹馴染みであるヒロイン・螢子(白石聖)を誘拐し、人質に取るのだが、実写版では、後に強敵となる戸愚呂兄弟の兄(滝藤賢一)が飛影に化けて、誘拐する。よって、幽助は勘違いをして、飛影と対峙することとなる。

このストーリー変更はお見事。はっきり言って、原作においてこの時点では飛影はただの卑怯な小悪党の一見キャラとして、終わらせておこうと作者は思っていたのだろう。原作ではその後、一切出てこない“飛影の全身に邪眼”があらわれるというグロテスクな描写も、実写版では、もちろんカット(月川監督、わかっていらっしゃる!)。

そんな飛影の黒歴史を、真の悪党である戸愚呂兄に背負わせるアイデアは素晴らしい。飛影への誤解を介して、幽助と戸愚呂兄弟の因縁が生まれるという流れがスムーズだからだ。月川監督は、きっと「自分だったら、こうするのに!」という構想を何十年も内に抱え、本作でそれを見事に具現化したのではないだろうか。

また、螢子と飛影の妹である雪菜(見上愛)は、別々に捕らわれの身となり、幽閉された場所で信頼関係を深めるのだが、その一連のシーンも実写版オリジナルである。こちらも2人の友情を無理なく描きつつ、漫画版では男性キャラクターの影に埋もれがちな女性キャラに光を当てる素晴らしい演出だと感じた。

そして、飛影に苦戦した幽助は、腐れ縁でありライバルである桑原和真(上杉柊平)と共に、コエンマの指示で、霊光波動拳の使い手である玄海から修行を受けることとなる。第3話で修行編も消化するといったスピーディーな展開が心地良い。

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