「思い出や記憶が、美晴のキャラクターに反映されている」
親族との記憶が反映された美晴のキャラクター

日髙麻鈴 写真:waakaco
日髙麻鈴 写真:wakaco

―――本作で演じられた美晴に対して、どのような役作りをしましたか?

「色んな資料、文献、映画、ドキュメンタリーなどを見て、情報収集をして役に挑みました。親族に自閉症を抱えている方がいて、その方との思い出や記憶が、美晴のキャラクターに反映されている部分があったなと思います。その上で、身体的な表現、視線の置き方、細かい部分を試行錯誤しながら、監督やキャストの皆さんと一緒に作っていきました。また、私は美晴がコミカルに見えるように心がけて演じました」

―――美晴は自分の自己紹介と一緒に、好きな音と嫌いな音を説明します。好きな音の時は楽しそうに、嫌いな音を言うときは本当に嫌な顔をしていました。この時の演技は、日髙さんのご親族の方との思い出から自然と出てきたのでしょうか? それとも演出があったのでしょうか?

「思い出から自然と出てきたものだったと思います。私の親族は『嫌だな』とか『好きだな』という感情を、表情豊かに表現する方だったんです」

―――『美晴に傘を』というタイトルの通り、本作に出てくる“傘”本は、美晴を外部からの危険なものから身を守るものとして描かれています。日髙さんは、本作の“傘”というモチーフをどのように考えましたか?

「美晴は、空想の中に傘を作って、その下に隠れることが逃げ場になっていましたが、それは誰しもあるものだと思います。私も、何か辛いことがあった時は逃げ場を作って自分の心を守るようにしていますが、これから鑑賞される方にも、『自分にとっての“傘”って何だろうと』と、考えて観ていただけたら嬉しいです」

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