「折本は私たちの象徴」
阿部寛との共同作業について

©2025『ショウタイムセブン』製作委員会
©2025『ショウタイムセブン』製作委員会

―――阿部寛さん演じる折本というキャラクターは、野心家の一面があり、観る人の関心をグイグイ引き付けるようなところがあります。

 「僕の中では、折本という人物を『現代を生きている私たちの象徴』として捉えている部分があるんです。多かれ少なかれ、どんな人でも、他人からどう見られているのか、どう思われているのかを気にしながら生きています。誰もが、毎日複数の人格を演じているとも言える。みなさん会う人によって人格を演じ分けるのではないでしょうか。それは必ずしもネガティブなことではなくて、自分と接する人、自分のことを見ている人を楽しませるという形をとることもあって。それを極端に突き詰めているのが折本というキャラクターです。普通の人は折本ほど徹底的ではないにしても、みんなそうやって生きているのでは、と。いまSNSを使う多くの皆さんは自らカメラの前に出て「演じて」いる。人格を使い分けて、他者を楽しませています。その延長線上に折本がいると考えています」

―――そんな折本を演じた阿部さんのお芝居はとても見応えがありました。役を作り上げる上で、阿部さんとはどのようなやりとりをされましたか?
 
「今回、阿部さんとは、折本の人物像からセリフの強弱といった細かいところまで、何日もかけて綿密にディスカッションをさせていただきました。さきほどの話に繋がりますが、折本は、演技でやっている部分とリアルに反応している部分が混在していて。このセリフは演技なのか、本来のリアクションなのかーーもちろんその解釈は現場でも変わっていくわけですけどーーこの場面ではこういう心持ち、一方、この場面ではこのくらい計算して…というようなことを、擦り合わせていきました。すごく濃厚な時間でしたね」

―――阿部さん以外の役者陣も熱演を見せています。とりわけ竜星涼さんは阿部さんと対峙する場面が多く、画面から気迫が伝わってきました。竜星さんをお撮りになって、どんな俳優さんだと思いましたか?

「とてもワクワクしましたね。お芝居をするのが心底好きなんだなっていうのがダイレクトに伝わってくる。今回は、折本を追い込む役回りですが、テイクを重ねるごとにどんどん熱量が増していくんです。『次はこうしよう』というアイデアが湧き出ているように感じました。撮っていてすごく楽しかったです」

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