「任された作品をどう面白く撮るかに尽きる」
―――ネタバレになるので、どなたが犯人を演じているのかは書けませんが、阿部さんと犯人の電話越しの対話が熱を帯びていく過程もスリリングでした。現場では、犯人の声はスタッフの方が代役を務める形で進められたのでしょうか?
「いえ、犯人役の俳優さんには声だけの出演の時も現場に来ていただいて、阿部さんとリアルに掛け合いをしてもらっています。事前に録音した音声を現場で再生するのではなくて、現場で直接会話をしてもらって、その生のやりとりを使っています。それは物語の臨場感を生み出すことにも寄与していると思います」
―――今回、複数のカメラで同時撮影を行うことによって、緊張感のあるお芝居をお撮りになっています。具体的な撮影方法について伺いたいのですが、カメラは何台使用されましたか?
「映画本編用のカメラは2台で、そこは通常の映画と変わりません。でも今回スタジオのシーンでは、本編用カメラに加えて、テレビカメラを4台使っています。これは実際に劇中でも映っているものです。テレビカメラだけで撮影するテイクもあるし、本編用のカメラ2台だけで撮影する時もある。更には6台全部回してっていう時もあって。撮る内容によって使い分けました」
―――渡辺監督はテレビの現場で経験を積まれ、劇場映画を撮るのは今回で2作目です。映画とテレビドラマを撮る上で意識を使い分けているところもあるのでしょうか?
「使い分けていないです(笑)。今はもう機材の充実度やスタッフのスキル面において、テレビも配信も映画もほとんど同じです。ただ、アウトプットの場所が違うだけです。逆に言うと、僕はテレビ番組の演出を担当する時も、テレビ番組を撮っているという気持ちでは全く撮ってなかったので、そのあたりの変化はないですね。なので、この作品は映画だからとか、ドラマだからとか配信だからといって、アプローチを大きく変えるっていうことはありません。任された作品をどう面白く撮るかっていうことに尽きます。ただ、映画にはエンドロールがあるじゃないですか。テレビのエンドロールにはたくさんのスタッフの名前を出せないんです。でも、映画の場合は関わってくださった皆さん全員の名前が出ます。エンドロールを見ると、こんなに沢山の人たちと一緒に仕事したんだっていう感動がありますね。それは映画ならではかもしれません」
(取材・文:山田剛志)
■出演:
阿部寛
竜星涼 生見愛瑠
前原瑞樹 平原テツ 内山昂輝 安藤玉恵 平田満
井川遥 吉田鋼太郎
■監督/脚本:渡辺一貴
■原作:The film “The Terror, Live” written and directed by Kim Byung-woo, and produced and distributed by Lotte CultureWorks Co., Ltd. and Cine2000
■主題歌:Perfume 「Human Factory – 電造人間 -」(UNIVERSAL MUSIC)
■配給:松竹 アスミック・エース
■タイトル:ショウタイムセブン
©2025『ショウタイムセブン』製作委員会
2025年2月7日(金)全国公開
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