英語タイトル『YIELD Final Version』が表す意味とは?
本作は、採石場でひたすらに石を掘り出し、叩き割る映像が続く。場面の説明もナレーションも、一切ない。登場人物が話し出すのも、20分を過ぎてからだ。
水頭症に苦しむ子ども、重労働が原因で、背骨が曲がってしまった少年…。しかし、その運命に抗えず、毎日、砕石作業、ゴミ拾い、さらに、食卓に並べるために魚を採ったり、鳥をさばいたりも、当たり前のようにこなしていく。
英語タイトルに付された『YIELD』という言葉には、「(作物・製品などを)生む・産するといった」意味の他に、「(要求されたものに対して、当然のものとして)許す」といった意味もある。彼らには、その運命を受け入れるしかないのだ。
ここでは、水頭症の他にも、栄養失調や皮膚病などの病気にかかる子どもも多く、幼児死亡率は約30%と高い水準だ。また、パヤタス地区の治安も最悪で、殺人、強盗、レイプ程度の犯罪では、警察が介入することもなく、人が1人亡くなったくらいでは、ニュースにすらならない。