「今日だけは彼らに憧れるのはやめましょう」
アメリカ戦前の大谷翔平の言葉
そして、決勝戦の日米決戦。試合前のロッカールームで大谷がナインに金言をもたらす。アメリカ代表の主軸を成す超一流のメジャーリーガーの名を次々挙げた上で、「今日だけは彼らに憧れるのはやめましょう」と訴えたのだ。
この言葉は、特にNPBの選手にとっては胸に刺さっただろう。そして、この言葉が、メジャーでMVPを獲得した大谷から発せられたことで説得力十分だったことは言うまでもない。
先発の今永昇太(横浜DeNA)は先制ソロを許すが、本調子を取り戻した村上の一発などで逆転に成功。その後、戸郷、高橋宏、伊藤、大勢と小刻みな継投で試合を優勢に進める侍ジャパン。
8回のマウンドにはダルビッシュが上がり、最終回にマウンドを託されたのは“泥だらけのストッパー”大谷翔平だ。
先頭打者を四球で歩かせるも、後続を併殺打に仕留め、残り一死。ここで打席に迎えるのはエンゼルスの同僚にして兄貴分、そしてアメリカの主将でもあるトラウトだ。いくら野球が“筋書きのないドラマ”だとしても、出来過ぎたシナリオだ。
後世に語り継がれるであろうこの対決で、大谷は見事、三振に斬って取り、歓喜の瞬間を迎える。本作がドキュメンタリー映画であることを忘れさせるかのような臨場感たっぷりの映像で、あの興奮がよみがえってくる。