大谷のワンマンチームではない
侍ジャパンが日本球界に与えた希望
今大会のWBC優勝は、過去2回の優勝とは、また別の意味を持っていると感じる。第1回大会の優勝は、「王貞治」という世界に名を知られた本塁打王を指揮官に迎え、そのカリスマ性によってまとまったチームであった。第2回大会の優勝は、イチローという圧倒的な存在を中心に据えたチームだった。
翻って本大会の侍ジャパンは、大谷のワンマンチームなのかといえば、答えは否だ。投打ともに軸を据えながらも、ベンチの層は厚く、特に投手陣は盤石といえる活躍を見せた。
野手陣も、源田壮亮(西武)は右手小指を骨折しながらも大会に出場し続け、痛みに耐えながらも普段と変わりないプレーを演じる根性を見せた。この姿を見せられたら、他のナインが燃えないわけがない。源田の帯同は、チームに有形無形の好影響をもたらしたのだ。
世界一奪還を果たした侍ジャパンは、日本中をフィーバーの渦に巻き込み、その勢いは今季のプロ野球の盛り上がりに大いに貢献している。加えて、このチームが野球界にもたらした効果はもう一つある。それは「野球少年が目指す場所」を与えたことに尽きるだろう。
サッカー少年がワールドカップを目指すように、「野球で世界と戦う」という目標が出来たという大いなるレガシーを作ったのだ。
大会全勝で優勝を飾ったものの、その間の選手の苦悩や葛藤、そしてその先に待っていた歓喜を、貴重映像とともにつぶさに記録した本作。
舞台裏を含め、1年半もの完全密着を敢行し、ナインもその期待に応える結果を出したことで、フィクション作品をも超える、感動的なドキュメンタリーに仕上がっている。
(文・寺島武志)
【作品情報】
上映期間:2023年6月2日(金)~22日(木) ※3週間限定予定
上映時間:130分
上映館: TOHOシネマズ日比谷、ほか全国134劇場
当日窓口料金:一般¥2,200-均一 高校生以下¥1,100-均一(いずれも税込)
※本作は特別興行となりますので、当日窓口料金は上記2種類のみとなり、各種サービスデーや割引は適用されません。
出演:侍ジャパントップチーム
主題歌:あいみょん「さよならの今日に」
ナレーション:窪田等
監督・撮影:三木慎太郎「侍の名のもとに」
制作:J SPORTS/NPBエンタープライズ
配給:アスミック・エース/J SPORTS
©2023「憧れを超えた侍たち」製作委員会
Trademarks, copyrights, names, images and other proprietary materials are used
with permission of World Baseball Classic, Inc.
公式サイト