「挫折を経験したことが自信につながった」
役者としての展望を語る
―――完成した作品を観た時、どのような感想をもちましたか?
「出演しているので、当然、話の筋がわかっているのに、『おわっ!』と思うシーンが沢山あって、引き込まれる映画だと思いました。私が出ていないシーンにも惹かれるところが沢山あって、映像も音楽も斬新だと感じましたし、客観的に楽しめました。怖い部分と楽しい部分が両方入っていて、その塩梅が最高だと思いましたね」
―――お話を伺っていて、役者さんとして確固としたこだわりを持って撮影に臨まれているということがよくわかりました。
「いえいえ、恐縮です。ありがたいことに、お芝居の仕事をさせてもらってから、3 年ほど経ちます。演技を始めた当初、自分では『大げさすぎるかな』と思った芝居も、映像で観るとそうでもなかったという経験を何度かしました。それもあり、どこまでやっていいのか?逆にどのようにセーブすればいいのか?といったバランスのとり方は、映画のお仕事を通じて、強く意識するようになりました。
今回、ホラーテイストの強い作品に出演するのは初めてでしたが、監督の指導や助言を受けて作り上げたお芝居をスクリーンで観ることで、自分のお芝居の見え方がまた変わりました。そうした点でも、つくづく勉強になる現場でしたね」
―――元々、モデルとしてご活躍されていた莉子さんですが、俳優業に挑戦しようと思われたきっかけがあったのでしょうか?
「明確なきっかけがあるわけではないのですが、本格的なお芝居をさせてもらう前に、YouTubeドラマなどで、役を演じる機会はあったんです。とはいえ、当時はまだお芝居を楽しめるようなレベルではなく、『楽しい』どころか、『何をやっていいのかわからない』という感覚の方が大きかった。
それから、2020年に映画『小説の神様』に出演させていただいたのですが、プロの役者の方々を目の前にして圧倒されてしまって、力量不足を痛感しました。それがとても悔しくて、演技のワークショップに通い始めるなど、自分なりに演技について真剣に考えるきっかけになりました。まだまだわからないことだらけではありますが、挫折を経験したことが、自信につながったと思っています」
―――モデルとしての経験が、俳優業においてプラスに働くこともあったのでしょうか?
「おこがましいのですが、今、振り返ると、お芝居を始めたばかりの頃から『目の表現が良い』と言っていただくことが多くて。写真の被写体であるモデルのお仕事は、セリフではなく表情や仕草が表現の命になるので、目線の配り方などは、自然に身に着いていたのかもしれません。
目について褒めていただいてからは、目の表現を意識しながら演技に臨むようになったのですが、そうすることで、自然と体全体の動き方も変わってきました。改めて、演技の面白さを実感しましたね」
―――最後の質問です。莉子さんが今まで観てきた映画で影響を受けた作品があれば教えてください。
「何と言っても、宮沢りえさん主演の『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)ですね。映画に限らず、物語に感動して泣くという経験をしたことがなかったのですが、そんな私が唯一号泣した作品です。
ストーリーも、宮沢さんの演技も、俳優としてこれから精進していきたい私にとって刺激的で、多大な影響を受けたと言っても過言ではない、ずっと心に残っているフェイバリットな作品です」
(取材・文:ZAKKY)
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