「これで絶対世の中に出ていくんだ」映画『明ける夜に』監督・堀内友貴、主演・五十嵐諒、花純あやの、独占ロングインタビュー
なら国際映画祭で学生部門最優秀賞を受賞した青春群像劇、映画『明ける夜に』が8月18日(金)よりテアトル新宿で公開される。専門学校在学中に本作を製作したという堀内友貴監督。今回は、監督と共にダブル主演を務めた俳優の五十嵐諒と女優の花純あやのにインタビューを敢行。コロナ禍で行われた撮影中の秘話など、たっぷりとお話を伺った(取材・文:福田桃奈)
「いきなり目の前でメイクを落とし始めた」
偶然の出会いから生まれたキャラクター
―――静かなトーンから生み出されるシュールな笑いがとても面白く、大変楽しく拝見させていただきました。まずは、本作の着想について教えてください。
堀内「私は、2年制の映画の専門学校に通っていたのですが、在学中は同期と自主映画を作っていました。2年生の春頃に卒業制作のような形で、もっと規模の大きい作品を作ろうと思い、本作を制作することになりました。でも、それまでは短編や中編しか撮ったことがなかったので、なかなか脚本を書き出せなくて…。
そんな時、本作の撮影をしてくれた同期の中村元彦君が『8月31日だけは夏休みが終わるような日付けとして明確さがあるけど、それ以外の日にはないよね』という話が出て、8月31日という1日だけの群像劇だったら何か面白いものができるんじゃないかと思ったんです」
―――主演のお二人をキャスティングした経緯を教えてください。
堀内「五十嵐さんは、前作(『また春が来やがって』)の主演をつとめてくださり、当時から「みんなでまた何かやりたいね」という話をしていました。
あやのさんと初めてお会いしたのは、僕が脚本の内容を考えている頃。彼女は学校の授業に呼ばれて来ていたのです。授業が終わった後、他の方も交えてご飯に行ったのですが、劇中にもあるようにいきなり『メイク落としてもいい?』と言い出し、目の前でメイクを落とし始めたんです。
あと関西弁がポロッと出てくるのが印象的で、魅力的だなと思いました。あやのさんと出会ったことで、キミというキャラクターが出来上がったような気がします」
―――偶然の出会いから生まれたキャラクターだったんですね。お二人は脚本を読んだ時の印象はいかがでしたか?
五十嵐「面白かったです。脚本の段階で作品の魅力が詰まっていて完成されていました。監督にとっても、スタッフにとっても学生最後の集大成となる作品だと聞いていたので、相当強い覚悟を持って取り組まなければいけないなと感じました」
花純「私は初めて出会うテイストの脚本だったので、『面白い!』と思いました。言葉遊びなどのニュアンスにワクワクしました。また、皆さんと初めてご一緒する作品だったので、みんなにとっては“けじめ”の作品だけど、私にとっては“始まり”という感覚があり、読み終わった後に高揚感を抱いたのを覚えています」