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「閉じ込められている感じがほしかった」
撮影・演出について語る

写真:武馬怜子
写真武馬怜子

―――構想を伺うと、現実化しなかったシーンも見てみたくなります。話は変わりますが、本屋で菜穂子が響子を見つけて後を追ってついていくシーンなど、本作では重要なシーンで雨が降っている印象があります。これはたまたまでしょうか?

「たまたまです。ご指摘のシーンでは雨予報ではなかったので、大急ぎでスタッフに傘を準備してもらい、菜穂子の傘をどれにしようかと思案して…現場は大変でしたね」

―――ビニール傘をさす菜穂子に独特の影が感じられて、キャラクターにピッタリだと思いました。

「確かに、言われてみればそうですね! 嬉しいご指摘です」

―――雨が降ったから別のシーンを撮影するのではなく、それだったらそれで…。

「もう、このまま撮ろう!みたいな感じでしたね」

――――物語の内容にとどまらず、実際の撮影も自然と調和しながら、上手くやっていったのですね。本作ではスタンダードサイズを採用されていますが、どのような狙いがあったのでしょうか?

「森のシーンなどは広い画面サイズのほうが上手く収まるかなと思ったのですが、スタンダードにすることで閉塞感が出ると思ったんです。作品としては広いものを描いてはいるのですが、閉じ込められている感じがほしかったのです」

――――なるほど。枠があるから、その分、画面に収まらない広がりが感じられるようにもなっていると思いました。響子を元女優という設定にしたのは、なぜでしょうか?

「私自身、役者をやっているということが大きいです。前作で組んだプロデューサーさんも、役者をおやりになっているのですが、ある時、体調を崩してしまって手術をしなくちゃならなくなってしまった。響子のキャラクターを造形する上で私が実際に見聞きしたエピソードは結構入っています」

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