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「演じていてスイッチが入る感じがありました(笑)」
撮影時のエピソードについて

C79 写真:宮城夏子
写真宮城夏子

――― 一方で、小原さん演じる園子は、光子との絡み以外でも、大西信満さん演じる夫の孝太郎、黒住尚生さん演じるエイジら男性陣との共演シーンも見応えがありました。特に私は、エイジと同盟を結ぶ過程がとても好きでした。彼とのシーンでは園子の強さがよく出ていると思いました。

小原「ありがとうございます。そうですね、ご指摘のシーンは私も撮っていてすごく楽しかったのを憶えています(笑)。あの公園のシーンは比較的時間にゆとりがあったのと、終盤に撮ったのもあって、チーム全体に余裕があり、リラックスした雰囲気で撮影することができました。

あとは、共演の黒住さんが、からかい甲斐のある表情と言いますか、すごく心くすぐる表情をされるので、演じていてスイッチが入る感じがありました(笑)」

―――新藤さんは、今回、対男性、対女性と2パターンのベッドシーンを演じておられますが、両方のシーンで異なる表情や動きをなさっていると思いました。

新藤「男性との場合は、相手に身を任せるという意識が基本なのですが、女性同士の場合は、受け身だけじゃなくて、能動的にならなければいけない瞬間もあって。

お互い女性同士のベッドシーンは初めてだったので、ぎこちないところもあったりして、『私が助けてあげなきゃ』と思う局面がある一方、小原さんがリードしてくださるところもあったりして。とにかく、“一緒に溺れていく”という感覚になりましたね」

―――光子と園子のベッドシーンでは2人の笑顔が印象的でした。男女のベッドシーンではあまり見ることのない表情だと思いました。

小原「私は、新藤さんとベッドシーンをご一緒して、『本当に綺麗だな』って思って。その気持ちがそのまま表情に出たのかもしれません。今回、私は男性とのベッドシーンはなかったのですが、過去に男性とベッドシーンを撮影した時に比べて、不思議と安心感があった気がします。

『私もいっしょに溺れていいんだ』という気持ちにさせてくれたといいますか。そういう気持ちになったのは、まさに光子のように身も心も吞み込んでしまう、新藤さんの力だと思いましたね」

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