何度でも立ち上がる主人公の中の主人公
日向を完全に封じ、この試合はもう楽しめないと感じていた研磨も日向が立ち上がる姿を見て高揚していく。バレーボールに対して感情を露わにすることがなかった研磨が「楽しい」と発言したのだ。
両チームとも疲労が蓄積しており、ギリギリの攻防が続く。顔から大量の汗が流れ、呼吸が激しくなる。周りの応援のボルテージも最高潮で一瞬たりとも気を抜けない展開だ。
そして、マッチポイントに追い込んだのは烏野。24-21の状況であと1点、烏野がとれば試合に勝利する状況までたどり着く。
そんな状況でスクリーンは急に研磨視点になり、見ている側は「なんだ、なんだ」と心がざわつく。
満身創痍でボールをつなげようとラリーが続き、烏野サイドから打ち出されたボールを拾おうとする研磨だったが、試合はここで決まってしまった。
ラリーの中でボールに汗が付着していたせいで研磨は手を滑らせてしまい、うまく拾うことができなかったのだ。
音駒はこれで敗退となったが、涙を流して悔しがるというよりもやりきったという晴れやかな表情に見えた。無表情だった研磨が日向との戦いを楽しんでいた姿を見ると視聴者としても清々しい気持ちになる。