「衣装を考えるのに一番時間がかかりますね」
最終的には判断するものとはー。
―――車椅子の謎の女性・美和子(片岡礼子)は、真っ赤なワンピースに対して、世話役の女性・節子(斉藤由貴)は真っ白な洋服を着用していました。そういった面で、効果的に色を使われていると感じました。衣装には相当こだわられたのではないでしょうか。
「そうですね。それは相当こだわりました。キャラクターのパーソナルな部分もありますけど、僕の色の好みが結構激しいんですよ(笑)淡い色とかオレンジとかパステル系は苦手なので、基本的に選びませんね」
―――それを聞いて納得しました。というのも、前作『ミッドナイトスワン』(2020)では、草彅剛さん演じる主人公の凪沙が実家に帰るシーンで、真っ赤なロングワンピースにトレンチコート、そしてクロコの型押しのピンヒールでカツカツと歩く姿が美しく印象的でした。普段から衣装にはこだわりを持っているのでしょうか。
「そうですね。衣装を考えるのに一番時間がかかっています。でも最終的には、僕の好みを全面的に出すようにしています。個人的にトレンチコートはすごく好きなので、『ミッドナイトスワン』では主人公の凪沙(草彅剛)に着せ、今回は黒いコートを吐夢(佐久間大介)に着てもらいました。
でも最近は、好きだけで選んでるとどんどん時代に取り残されるので、気を付けないといけない、とも思っています。例えば髪型とか服装とか、流行りのものは苦手意識が強いんですが、そうすると時代に取り残されたり、独りよがりな映画になってしまうので、今後はちゃんと取り入れていこうかなと思います」
―――ネタバレなので伏せますが、作中では植物が物語の伏線として使われています。今回のモチーフを“植物”にした理由を教えてください。
「植物の持つ、二面性の意味があることを知って、そこから『これを使いたい』と、モチーフを植物にしました」