「めちゃくちゃハマったな」
俳優・水川かたまりを撮る面白さ

死に損なった男
©2024 映画「死に損なった男」製作委員会

―――本作は水川かたまりさんの映画主演デビュー作ですが、一挙手一投足、見逃せないお芝居をされていると思いました。キャスティングはどの段階で決まりましたか?

「本格的にコロナ禍に突入した2020年の春にはすでに脚本は完成に近い形だったのですが、キャスティングにすごく時間がかかったんです。最初は役者一本で活動されている方を候補に考えていたんですけど、なかなかハマらず。ユニークな作品になりそうだし、僕の作風を鑑みても、一風変わった雰囲気を映画にとってプラスに転化させられるような人がいいなと思っていたところ、プロデューサーの方が『主役は芸人さんでいかがでしょう』と提案してくださって。最初からかたまりさんの名前が候補に入っていたんですよ。『それ、めっちゃ面白いですね。芸人さんで行くのは賛成だし、この中だったらもう絶対かたまりさん一択です』と即答しました。元々、空気階段のコントはよく見ていたんです。作風もすごく好きでしたね」

ーークランクイン前に、どのようなお話をされましたか?

「衣装合わせの時に初対面だったのですが、『この役をどうしましょう』みたいな話は全くしていないんです。衣装がある程度決まって、いくつかのシーンで読み合わせをさせていただいたのですが、最初から『めちゃくちゃハマったな』っていう感触を得まして。これはお任せして大丈夫だなと」

―――頭の中で思い描いていた一平が立ち現れた、という感覚だったのでしょうか?

「そうですね。僕が役について何かを伝えるというよりかは、かたまりさんに正解を教えてもらった、という感覚に近いかもしれません」

―――クランクインしてからも、現場で水川さんを撮る面白さや、発見される部分もあったと思うのですが、いかがでしょうか?

「これ、あまり分かってもらいにくいんですけど、僕は物語のある顔が好きなんですよ。かたまりさんは、圧倒的に物語のある顔をされていて、映画に向いている顔の作りであり、声の質だと思っていて。カメラを回していてもまったく飽きない。そこは撮っていてすごく面白かった部分です。過度に技巧を凝らさなくても、被写体としてすごく情報量があって、すごく映画向きの方だなと思いました」

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