「この役は伊藤さん以外考えられない」伊藤万理華&中川大志が語る、映画『チャチャ』にかける思いとは? 対談インタビュー
映画『チャチャ』に出演する伊藤万理華と中川大志にインタビューを敢行。本作は、デザイン事務所に勤める個性的な感性を持ったチャチャと謎めいた青年・樂を演じるふたりのラブストーリーとなっている。今回は、前半と後半でガラリと様相が変わる脚本や、衣装や役作りなど、細部までこだわった本作についてお話を伺った。(取材・文:斎藤香)
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ファンタジーからリアルへ
映画『チャチャ』の脚本に感じた驚き
―――映画『チャチャ』は、前半の可愛らしい世界観から後半は予想外の展開で本当に驚きました。最初に脚本を読んだときの感想から聞かせてください。
伊藤万理華(以下、伊藤)「まずチャチャのキャラクターにとても惹かれました。物語が進んでいくにつれ、視点がどんどん変わっていき、チャチャのさまざまな面が描かれていくのが面白かったし、生活感がなくファンタジーのような存在だったチャチャの人間らしい部分がどんどん溢れてきて…。映像化したらどうなるのだろうと思いました」
中川大志(以下、中川)「最初に脚本を読んだとき、物語の中心にいるチャチャは“絵本の中の女の子”みたいなポップな印象を受けたのですが、伊藤さんも言うように、だんだんリアルな女性らしさが現れてくるんです。ファンタジックな一面と、人間味溢れる一面という、そのバランスがすごく好きでした。
非現実的な世界観が続いてしまうと、入っていくのが難しいと思ったのですが、『チャチャ』の脚本は、現実の世界と地続きだと感じさせてくれたので、夢中になって読みました」
―――伊藤さんはチャチャ、中川さんは樂というキャラクターを演じていますが、役について教えてください。
伊藤「とても難しかったです。タイトルになるくらいインパクトのある女の子なので、髪型、衣装、演じるときの声色なども考えていたのですが、酒井麻衣監督からは、“伊藤さんのままでいてください”と言われまして。他者から見た自分はどんな人物なのだろう、そのままでいるためにはどうしたらいいのかと、周囲の人に印象を聞きつつ、自分で自分を観察することでチャチャを完成させていった感じです」
中川「樂は僕がこれまで演じたことのないキャラクターでした。謎めいていて独特な世界観は、彼の魅力にもつながっていると思いましたが、自分にはないものをたくさん持っている人物なので、僕にできるのか…と悩みました。
樂は“開けてはいけないブラックボックス”のようなものを持っている男。だから、目の前にいるけど、心はどこか別世界にいるような不思議な存在感がある男を目指しました」