伊藤万理華と中川大志が語る「お互いを問い合う演技」
―――完成した作品を観たとき、撮影で抱いていた印象と違ったなど、驚いたり、良かったと思ったりしたところはありますか?
伊藤「映像と音とアニメーションなどの仕掛けが入ると、現実離れした世界が繰り広げられて、そこが素晴らしかったです。舞台は現代で、そこに生きる人々が登場しますが『映像と音の力でこんなにも変わるんだ』とうれしい驚きでした。正直、自分が出演している作品は『ちゃんと演じられているだろうか…』という不安の方が先に立ち、冷静に観られません。観客の皆さんの感想を聞きたいです」
中川「ネタバレになるので詳しいことは言えないのですが、僕自身はこういう映像のマジックというか、仕掛けのある映画が好きなので、2回、3回見ても新しい発見のある面白い映画になったと思います。
酒井麻衣監督の作品に出演するのは初めてで、僕なりに監督の頭の中に広がる世界を想像しながら演じていたのですが、完成した作品は、音や光の演出など、想像以上の世界が広がっていました」
―――お互いのお芝居を見て、どのような感想を持ちましたか?
伊藤「樂は何をしでかすかわからないミステリアスな存在で難役だったと思いますが、中川さんが樂としてリアリティのあるお芝居をしてくれたからこそ、私もチャチャとして、ちゃんと地に足がついた存在としていられました。樂の人物像が映像でしっかり伝わるし、ちょっと怖いところも含めて素敵だなと思いました」
中川「ありがとうございます。僕は、脚本をいただいた段階でチャチャを伊藤さんが演じることを知っていたので、伊藤さんのイメージで脚本を読んでいました。この役は伊藤さん以外考えられないし、あて書きなんじゃないかと思うほどぴったりでした。
僕は伊藤さんのことを“ファッショナブルでアーティストの感性を持つ俳優”だとイメージしていました。僕にないものをたくさん持っている方だから “僕と伊藤さんが共演することがあるのか?”と思っていたので、今回、共演できてうれしかったです。
タイトルロールのチャチャを演じるのは大変だっただろうし、自分にできることがもっとあったのではないかと思うのですが、完成した映画の伊藤さんのチャチャ、本当に素晴らしかったです」