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CGからアナログへ、映像表現への挑戦

荻上直子監督
写真:武馬怜子

―――撮影の山本英夫さんとは、前作『波紋』からの再タッグとなりました。本作では、『波紋』と同様に、記者やファンたちに囲まれるシーンや、異様な雰囲気のフェスティバルのシーンは、空撮が活用され、引きの画が多い印象を受けました。どのような意図があったのでしょうか?

「山本さんも私も映画が大好きで、映画を作る際には基本的に大きなスクリーンで観ることを前提に考えています。だから、引きの画が多いのはその影響ですね。絶対にアップが必要なわけではないと考えている点が、山本さんとの共通点だと思います。

映画だからこそ、大きな画面で観たときに映像的に面白いことを常にやりたいと思っていて、それは山本さんにも伝えています。例えば、上からドローンで引いていくカットは、ビジュアルでインパクトのある表現をしたかったんです。あのシーンは、とても面白く撮れたなと思っています」

―――フェスティバルのシーンは、夢と現実の境界が曖昧な描写になっていて、非常に印象的でした。前作の『波紋』でも、水面に立って波紋が広がるシーンがありましたが、少しリンクしているようにも感じました。こうした部分には、何か共通する意図やテーマがあったのでしょうか?

「常々映像的な面白さを表現したいという思いはずっとありました。どこか1か所でも2か所でも、映像として何か特別な表現ができたらといつも思っています。

『波紋』ではCGを使っていたのですが、どうしても表現しきれない部分があったので、本作では、CGではなくアナログ的な手法で何か映像表現ができないかと考えました」

―――本作では、タイトル通り、丸い窓の建物が多く出てきました。ロケ地探しには相当苦労されたのではないでしょうか? また、沢田が歩く道に路地裏が多く使われている点が印象的でした。

「裏路地は偶然だったんです! ロケハンに行った際に、たまたま助監督さんがその道を見つけて『ここに丸がありますよ』と教えてくれて、それを見た瞬間に『これは撮影しないわけにはいかない』と思い、その場で撮影を決めました」

―――運命的な撮影だったんですね。最後に、本作を心待ちにされている方に、是非観てほしい場面や描写があれば教えてください。

「どのシーンもこだわって撮影しましたけど、特に面白かったのはトンネルの中のシーンですね。みんなが集まって盛り上がっている場面なんかは、撮影していて本当に楽しかったです。だから、あまり難しく考えずに、笑ってもらいたいです」

(取材・文:タナカシカ)

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