「女の幸せとかにも騙されちゃダメです」
狩集家の遺産相続の条件は、4人の親族が各々に割り当てられた蔵の謎を解くこと。しかし、これには狩集一族のおぞましい歴史と秘密が隠されていた。この4人の親族のうち、赤峰ゆら(柴咲コウ)は専業主婦。幼い娘の幸がいるが、蔵の謎や次々と起こる出来事に対応するため、子供を父親に預けることが増えていく。
その姿を見かねた父親は彼女に「あまり1人でフラフラ歩かないように。家にいて子育てや簡単な家事だけしていいのは楽だし、幸とのんびりいられるのは女の幸せのはずだよ」と注意する。
ゆらは「そうですね」と肯定するが、久能は彼女に「女の幸せとかに騙されちゃダメです」と口を挟む。
家事や育児が簡単でのんびりできる仕事だったら、男性もやりたがるはず。しかし、現実にそんな男はあまりいない。なぜなら、できない、あるいは、やりたくないからだ。
久能に言わせると「女性をある型にはめるために編み出された呪文」であり、それを言い出したのは、多分おじさんだと言う。「女は愛嬌」「女の武器は涙」などの言葉は、おじさんたちの偏見と都合が隠されているのだ。
「女の幸せとかに騙されちゃダメです。自分から生まれた言葉で語ってほしい」と語る久能に何事にもイライラしていたゆらは心が動かされる。
作中のラストでは、責任を感じ涙する汐路に対し、前のめりに「そんなことは絶対にない」と勢いよくいうシーンに、彼女が人の気持ちになって考えられるよう、変わっていることを確認できるだろう。