「弱くて当たり前だと誰もが思えたらいい」
狩集一族の数々の謎に翻弄され、心のセメントに形ができてしまった汐路に対し、カウセリングを受けることを勧め「人間は弱いから」と語る久能。
しかしそれに、「私はどこもおかしくないよ」とカウンセリングに対し抵抗がある汐路へ、アメリカの刑事ドラマを例に出し「殺人事件などに関わった者はカウセリングでOKが出ないと現場復帰できない仕組みになっている。
人間が弱く壊れやすいことがわかっているから」と、アメリカでカウセリングが普及している理由と、それが普通だと言うことをわかりやすく伝える。
「
「弱くて当たり前だと誰もが思えたらいいのに」
この言葉は、
先述した通り原作では、「セメントは固まる前に直すことができる。」と自分が言ったことに対し、もし跡になってしまった後にどうすれば良いのかの解決策を、前向きに解釈できるような言葉をかけるのだ。
このように、菅田が演じる久能整という人物の台詞は、生きにくい現代人の真理に迫っている。本作の台詞を心の片隅に置いておくだけで、鑑賞後はほんの少し心が軽くなっていること間違いない。
(文・斎藤香)