細かすぎる埼玉ネタが素晴らしい!
嘉祥寺は、東京へ向け白い粉を積んだロケットを発射する計画を遂行する。さらにロケットの正体は、大阪のランドマークとされるあの建物なのだ。ここが本作最大の見せ場だ。
対する埼玉解放戦線は、知る人ぞ知る、とあるタワーを発射させ、大阪側からのロケットを迎撃し、見事に撃墜させる。嘉祥寺の恐ろしい野望を止めることに成功するのである。
嘉祥寺を野望に走らせたきっかけは「都構想」に失敗した腹いせなのだという。どこかで聞いたような話だ。
本作は、嘉祥寺という横暴キャラを通じて、大阪から全国へと勢力を広げつつある某右派政党の下品さを風刺しているのだと感じたのは、筆者の思い込みだろうか。
そして場面は現代パートへと戻る。ラジオから流れた、その物語に感動する直美をヨソに、綱引き大会は思わぬ展開を見せ、最も懸念していた「浦和vs大宮」の決勝戦が実現してしまう。
ここでもし、どちらかに凱歌が揚がれば、再び埼玉は分裂の危機を迎えてしまう。ここで内田が一案を講じる。
ロープの真ん中をマジックで黒く染め、そこにペットボトルを使って集光し、ロープを徐々に焼き切る作戦だ。決着が着きそうな瞬間、ロープは切れ、「引き分け」に終わり、内田ら役所側とすれば、結果オーライとなる。
この綱引きシーン、浦和チームには、浦和レッズの元FW・水内猛が、そして大宮チームには、大宮アルディージャの元DF・塚本泰史が出演している点も見どころの一つ。現在ではカテゴリーは違えども、「浦和vs大宮」のライバル関係を可視化するにはもってこいのキャスティングだ。