女性にとって「幸せ」とはなにか
サザポンは、ヒカリが事前に言っていた通り、人畜無害のどこにでもいそうないいオジサン。安希子の私生活に踏み込んでくることもなく、趣味は家庭菜園と、上手とはいえないピアノ、そして、ビールを飲みながら刑事ドラマを見るのが楽しみという地味な生活を送る中年男性だ。
引っ越してくるなり、「まぁ、適当に…」と安希子を迎え入れるサザポン。生活面での当面の不安は消えた安希子だが、WEBライターの仕事では「記事1本1000円」という常識外れなまでに買い叩かれた報酬で、貯金もままならず、梱包のアルバイトも始める。
そこで友人の景子(柳ゆり菜)と再会する。景子も過去、芸能界に籍を置き、人気グラドルだった。そんな景子も年齢という現実には勝てず、裏方仕事に精を出す生活を送っていたのだ。
一方で安希子は、カメラマンをしている浩介(猪塚健太)に思いを寄せていた。浩介からも、取材と称し、共に旅行に出かける仲だった。しかし、告白した安希子に対し浩介は、「俺、彼女いるし…」と残酷なまでにフラれてしまう。
自分の心を弄んでいた浩介のクズ男っぷりに絶望した安希子は、ヒカリと景子を呼び出し、「死にたい死にたい」と繰り返し、痛飲する。
何もかも上手くいかない安希子は、記憶がなくなるまでに飲んで帰り、リビングで寝入ってしまった彼女に対しても、サザポンはいつもと変わらずに接し、優しく毛布を掛けてあげるのだった。