『ウマ娘 』が競馬ファンから批判されない5つのワケ。映画『 新時代の扉』レビュー(3)名馬たちの夢の共演に胸がアツくなる
劇場版『ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉』が大ヒット公開中だ。一見、毛嫌いされかねない設定の同作だが、実はアニメ好きだけではなく、古参の競馬ファンの心も掴んでいるようだ。今回は、そんな『ウマ娘』ヒットの要因を考察していく。(文・高橋大地)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
トウカイテイオーとツインターボの夢の共演に涙
冒頭で述べた突拍子もない設定というのは、『ウマ娘』というコンテンツがどれだけ人気があったとしても変わりないだろう。現に競走馬の名前のついた女の子が猛スピードで走っているのだ。それだけで唯一無二のオリジナリティがある。
だからこそ、原作(私たちが生きる世界での競走馬たちの活躍)のリアリティが効いてくる。将来を嘱望されたものの度重なるケガで引退する馬もいれば、ケガやスランプに見舞われながらも復活して脚光を浴びる馬もいる。
競走馬の生涯は人間の思い通りにはいかず、波乱万丈であり一頭一頭にドラマがあるのだ。
テレビアニメシリーズ第2期の主人公であるトウカイテイオーが度重なる大ケガでついに引退を決意しようとしたときに、同期であるツインターボが“絶対に勝てない”と思われたレースで“大逃げ”を決めて勝ち、トウカイテイオーを勇気づけるというシーンがあった。
現実世界では、“同世代である”という以外に接点がなかったトウカイテイオーとツインターボだったが、『ウマ娘』では2人のキャラクター性やアニメならではのオリジナルストーリーがありつつも、競馬ファンにも自然に受け入れられるシーンとなっていて、多くの視聴者の涙を誘った。
競走馬は人間の言葉を話すことはできないが、ウマ娘は言葉を話す。現実世界の競馬では、本人(馬)の言葉から勝因や敗因を探ることはできないが、『ウマ娘』の世界では、本人の当時の心境や状況などを映像で見せてくれる。
本作は、騎手や調教師など関係者の言葉や実況のセリフなど複合的な要素を踏まえてストーリーを作っているのだが、集めた素材の編み方が絶妙なのである。
そこに古参の競馬ファンたちも唸り「『ウマ娘』の世界では“原作”の素材がどのように料理されて出てくるのか」を楽しみにしているのだ。
(文・高橋大地)
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