『ウマ娘』シリーズの今後に注目
(C)2024 劇場版「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」製作委員会
また、本作は競馬場の背景などにもこだわりがぎゅっと詰め込まれている。
映画冒頭のシーンでジャングルポケットがフジキセキの走るレースを見に中山レース場に来るのだが、駅方面からメモリアルロードを抜けて、レースが見えるコンコースまで走る風景の再現度が非常に高かった。
中山競馬場に行ったことがある競馬ファンならば誰しもが通ったことがあるだろう道のりを、丁寧にアニメーションで再現していて、『ウマ娘』の世界の中山レース場と現実の中山競馬場がリンクしているのだと改めて感じることができた。
昨今は、史実やマンガ、小説を基にした映像作品が発表されるたびに、ファンや原作者から批判される事態が定番化している。しかし、『ウマ娘』にはそういった声がほとんど聞こえてこない(そもそもの世界観に批判的な立場の人はいるが)。
脚本家が史実にオリジナリティを加えても、批判されずむしろ賞賛されることが多いのは、ファンが制作陣の原作へのリスペクトと競馬への愛を感じとっているからではないだろうか。今後も『ウマ娘』は様々なコンテンツとして現実世界を走り続けていくのだろう。
(文・高橋大地)