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世間から見放され、どう乗り越えたのか。

©2024 SPACE SHOWER FILMS
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東出を語る上で、やはりの過去のスキャンダルは避けられない。

不倫騒動で妻と子どもとの生活を手放し、所属事務所からフリーになるしかなかった東出。

しかし“捨てる神あれば拾う神あり”とは良く言ったもので、その前事務所から“狩猟に関するドキュメンタリーはNG”を言い渡されていたが、その枷がなくなったことで、本作の製作が可能となった。

実家にまで報道陣が訪れ、自身も自殺を考えるようになるほどうつ状態に陥ったと語る東出。確かに当時の彼へのバッシングは苛烈で、人間嫌いになっても不思議ではない。

心身ともにボロボロになった彼を受け入れてくれたのは、週刊誌報道やネットニュースなどに全く関心のない山男たち。彼にとってはユートピアと感じたに違いない。出会いに恵まれたといってもいいだろう。

肝心のドキュメントパートでは、現地の人々は総じて東出の本気度を感じ、総じて好意的なコメントを口にする。彼が芸能人だからといって、色眼鏡で見るようなこともない。

そんな状況に甘えることなく、東出は積極的に山に入り、次々と獲物を捕らえていく。

しかし、監督・宮地の「なぜ狩猟をするのか」という問いに、東出は明確に答えられない。まだ何かに迷いを抱えているかのようだ。

東京を離れた東出を慕う後輩俳優も、合流するのだが、その中には女性もおり、その女性とのツーショット写真を週刊誌に掲載されてしまう。週刊誌に怒っても許されそうではあるが、自然に溶け込んだ生活の中で、東出はそんな些末なことに戸惑うような人間ではなくなっていた。

ついには「週刊女性」の記者とカメラマンを招き、食事を共にしながら本音をぶつけ合うまでに、彼は人間的に成長していた。

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