映画ファンを唸らせるギミックの数々
結論から言うと、期待していたより面白かった。ただしそれは、ダイジェストがあってのこと。『ヤマト3199』がどうなっていくのか? という興味よりも、ガミラスやイスカンダルという星が消滅し、まったく別の、しかし連続性がゼロというわけでもなさそうな脅威に、地球は直面するのだというストーリーラインが入ってきたことだ。
その上で、『ヤマト3199』には、映画ファンを広く惹き付けるギミックが隠されていて面白かった。外宇宙に現れた上位種のテクノロジーが地球圏に迫るという圧迫感は、SFドラマシリーズ『エクスパンス』に通じる。
それだけではなく、地球を襲うデザリアムの陸戦兵器は『宇宙戦争』(2005)のトライポッドであり、古典の趣が懐かしい。そしてこのトライポッドを引きずり倒す地球連邦軍防衛部隊の機動歩兵の戦術は、『マトリックス レボリューションズ』(2003)のザイオン防衛戦だ。
全26 話予定されている『ヤマト3199』のうち、今回見たのは2話分に過ぎない。しかしヤマトシリーズを知らなくても、最後まで飽きさせなかった構成だったあたり、非常に良く考えられていたし、この終始ハイテンションで駆け抜けていった本編物語の意味や、キャラクター、特に主人公まわりの歴史に興味を覚えたのは収穫であった。
別に仕事ではなくても、今後、リメイク版ヤマトを鑑賞候補に加えるのに充分な動機となった。
もしあなたが宇宙戦艦ヤマトシリーズを知らないのであれば、今はちょうど良いタイミング。まずはこの『ヤマト3199』を見て、魅力的ながら謎が先行する世界観や登場人物の答え合わせをするために、リメイク版に立ち返るというのは充分にありではないか。それによって、かなり無駄なく、宇宙戦艦ヤマトという巨大コンテンツを吸収できるのではないだろうか。
(文: 宮永忠将)
『ヤマトよ永遠に REBEL3199 第一章 黒の侵略』7月19日(金) より上映中
【作品情報】
原作 西﨑義展 製作総指揮・著作総監修 西﨑彰司
総監督 福井晴敏 監督 ヤマトナオミチ シリーズ構成・脚本 福井晴敏
脚本 岡 秀樹 キャラクターデザイン 結城信輝 メカニカルデザイン 玉盛順一朗・石津泰志・明貴美加
CGプロデューサー 後藤浩幸 CGディレクター 上地正祐 音楽 宮川彬良・兼松 衆 宮川 泰 音響監督 吉田知弘
アニメーション制作 studio MOTHER アニメーション制作協力 サテライト・YANCHESTER 配給 松竹ODS事業室 製作 宇宙戦艦ヤマト3199製作委員会
古代 進:小野大輔 森 雪:桑島法子 真田志郎:大塚芳忠 島 大介:鈴村健一
土門竜介:畠中 祐 京塚みやこ:村中 知 徳川太助:岡本信彦 板東平次:羽多野 渉 キャロライン雷電:森永千才 坂本 茂:伊東健人
北野誠也:鳥海浩輔 南部康造:松本 忍 藤堂早紀:高垣彩陽 神崎恵:林原めぐみ 芹沢虎鉄:玄田哲章 藤堂平九郎:小島敏彦
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