大爆死もアニメ好きは大絶賛…その理由は? 映画『屋根裏のラジャー』徹底考察&評価。スタジオポノック最新作を深掘り解説
text by ジュウ・ショ
「スタジオジブリの遺伝子」を継ぐクリエイターたちによって立ち上げられた、スタジオポノック最新作『屋根裏のラジャー』が現在公開中だ。本作は、想像力豊かな少女・アマンダの”想像上の友達”であるラジャーを描いた物語。今回は、本作の魅力を紐解くレビューをお届けする。(文・ジュウ・ショ)<あらすじ キャスト 考察 解説 評価>
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【著者プロフィール:ジュウ・ショ】
フリーランスとしてサブカル系、アート系Webメディアなどの立ち上げ・運営を経験。コンセプトは「カルチャーを知ると、昨日より作品がおもしろくなる」。美術・文学・アニメ・マンガ・音楽など、堅苦しく書かれがちな話を、深くたのしく伝えていく。→note
ジブリ出身のメンバーで構成されたスタジオポノック最新作
『屋根裏のラジャー』を制作したのはスタジオポノック。スタジオジブリを退社したプロデューサー・西村義明が立ち上げた会社 だ。2017年に公開し大ヒットとなった『メアリと魔女の花』以来、6年ぶりの長編アニメーション作品 である。
今作の監督・百瀬義行は、スタジオジブリで多くの仕事を経験したアニメーション演出家。『火垂るの墓』(1988)『もののけ姫』(1997)『千と千尋の物語』(2001)といった作品で原画を担当した。ジブリにCGを導入した人物である。
また作画監督の小西賢一もスタジオジブリの作品に参加してきた人物だ。『ホーホケキョ となりの山田くん』(1999)や『かぐや姫の物語』(2013)では作画監督として制作をリードした。
さらに背景美術を担当した制作会社・でほぎゃらりー も同じく、スタジオジブリの制作部門出身者によって設立されている。
まさに「スタジオジブリの遺伝子」を継ぐクリエイターたちによって制作された作品であり、公開発表当初はぶっちゃけ「スタジオジブリの新作か?」「え? もう新作出たの?」みたいな声も多かった。
いやいや、まったく違う。確かにジブリ的なテイストを感じる部分も多い。しかしスタジオポノックは、明らかにジブリとは違うスタンスで、令和を生きる子どもたちに向けた新しいアニメ表現を伝えようとしている。