“奇天烈なのに不気味じゃない”
子どもの想像を具現化したスタジオポノック
結論、この難題に対してスタジオポノックは素晴らしい回答を出したと感じた。作中、画面には見たことない光景、建造物、自然が次々に登場する。まさに「おもちゃ箱をひっくり返した」とはこのこと。わくわくする絵の連続に、大人の私でさえ心が躍った。
例えば作中「たくさんのイマジナリーフレンドが集結する」という場面がある。各キャラクターのデザインがおもしろい。モチーフも形態もさまざまだ。少しテイストを間違えると不気味に見えてきそうだが、あくまで「コミカルでかわいい」を保っている。
この場面にSNSでは「光のパプリカ」「明るいパプリカ」 というキーワードで盛り上がっていた。2006年公開、今敏監督のアニメ作品『パプリカ』には魑魅魍魎が集まって行進するシーンがあるが、こちらは不気味さが強調されている。ちなみに『屋根裏のラジャー』の作画監督である小西賢一は『パプリカ』の原画担当もしている。
とにかくこの「想像上の友だち」という自由なお題に対して、子どもが喜ぶエンタメ性を保ちつつ奇天烈な世界観を実現しているところに、スタジオポノックの「子どもへの理解力」と「エンタメ力」の高さを感じた。
「子どもが想像する生き物ってこういうのだよなぁ」と思ったし、自然と分析的に作品を見ている自分に”大人”を感じて、ちょびっと寂しくなったのは言うまでもない。