人とのつながりを描く『モアナと伝説の海2』の挑戦
『モアナと伝説の海2』では、ポリコレと位置付けていいのかわからないものもあるが、前作とは違った仕方で多様性を反映している。まず挙げられるのは、監督がジェイソン・ハンドに加え、サモアにルーツを持つデイブ・デリック・ジュニアとデイナ・ルドゥー・ミラーに交代したことだ。
また、同じ船に乗り込むクルーもそうだ。どれもクセのある人物ばかりだが、その1人に年老いた農夫のケレ(デヴィット・フェイン)がいる。彼はいかにも気難しい人物で変化を好まない、頑固な老人として最初は描かれている。
しかし、物語が進むにつれ、そうしたステレオタイプな老人像から離れていく。ケレはいつの間にか学び、コミュニケーションの幅を広げていくのだ。
コミュニケーションという点では、ココナッツの鎧を身につける海賊カカモラにも注目したい。人間の言葉を話さないカカモラたちとは、前作では単に敵対していた。今回も似たような展開で登場するものの、共通の危機を前に、絵を使いながらなんとか意思疎通をしようとする。言葉の通じない種族との共存、共闘が映し出される。