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改変ポイント①
人間本体の視点がもたらす新たなリアリティ

映画『はたらく細胞』
(C)清水茜/講談社 (C)原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社 (C)2024映画「はたらく細胞」製作委員会

 人間パートは、母親を幼い頃に亡くした女子高校生・漆崎日胡(芦田愛菜)と、父・漆崎茂(阿部サダヲ)を中心に物語が展開する。

 体調を悪くしがちな父を心配し、健康に配慮したお弁当を作ってあげる日胡と、次第に体調が回復する茂。しかし、健康であった日胡は、ゆくゆくある病を患うこととなる。

 人間パートを入れるという改変が非常にうまい。この親子の描写があることで、視聴者側の感情移入がより深くなるという相乗効果を生み出していた。

 体内細胞パートも原作通りの部分と、プラスアルファ要素があり、見応えがある。

 外部から侵入した細菌やウイルスといった異物を排除するのが主な仕事である主人公、“白血球”(佐藤健)。一方、その白血球に助けられた過去を持つ、“赤血球”(永野芽郁)は、体内で酸素を運ぶ大切な役割を担っている。

 物語はこの2人を中心に展開していくが、成長した彼らが再会する場面では、白血球はその事実にあまり気付いていない。
 
 幼い頃2人は、「また会おう」と約束の言葉を交わしているが、本作のこのシーンでは原作にはない演出として、小指同士で指切りをする場面が描かれる。この指切りが、後にエンディングで重要な意味を持つことについては後述しよう。

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